「日中貿易史」をめぐろよしなし。

http://d.hatena.ne.jp/SY1698/20130806 からの続き。
今回、官報の検索機能がどこまで使えるかという試験運用をしながら調査をしているのだが、その中で判明したのは
ダマテンで公告しない会社がある。
検索で出てこないからしらみつぶしに2ヶ月決算公告を「日めくり」しても出てこないので頭を抱えたのだが、別の例を抽出しようとやってみたら、出てくる会社は第1期から出てくるのである。業種を変えれば卑近な例だが、スタジオジブリなんぞは株式会社転換後、毎期決算公告を欠かさず出している。ソフトオンデマンドだって同じ。合併催告を出さない豪の者はいないようだが。

そうなると調べ方としては、また周囲をなぞる方法論を確立させなければならない。そうしたときに、サンプリングの方法として極めて使いやすいのが、同業他社の決算公告を追うという方法である。幸い、筆頭格の「東工物産」はご丁寧にも第1期から決算公告を出し続けており(現在は有報提出会社となったため公告はない)、それを追うことで当時の日中貿易史の片鱗をつかむことができる。

同社の第13期(1966/3)〜第17期(1970/3)を見ると興味深かったのが、第16期(1969/3)では欠損金を発生させている点。これは当時の対中決済通貨である英磅切り下げによる影響が大きかったとみられる。実際、この影響で同業他社には倒産廃業したところも多いという。「日中貿易組合」が清算に移ったのもこの時期だ。そんなさなかに創業した「日中専門商社」というのはやはり興味を惹かざるを得ない。