「復刻本」の許容される範囲。

http://d.hatena.ne.jp/kensyouhan/
唐沢俊一検証blog の 管理人氏が今回上梓した「唐沢俊一検証本Vol.4」(P.51)にて、過去に「森由岐子の世界」(白夜書房刊)を著者に無断に復刻してトラブルになり、絶版に追い込まれた話が出ているので、それと今回の復刻本の件を合わせて論考してみる。
http://www.bunka.go.jp/chosakuken/gaiyou/kenrinaiyou.html
著作権法における著作権の概念というのは、きちんと学ばないとわかりづらいのだが、大きく「著作者人格権」と「著作権財産権)」の2つに分けられる。前者は氏名表示権・同一性保持権、後者は一般的な財産権として規定される。
雑誌の復刻を考える場合、まずは著作権を有する出版社との権利交渉が必須となる。ただし、雑誌を構成する各記事・作品等を作成した著作者への許可というのも必要となる。これはいわゆる「人格権」に関連するものなので、本人が今更載せたくないと考えれば、それを拒むことはできないと考える。
ただし、著作者人格権は著作者本人に付随するものなので、著作権者より権利を譲受する際に「人格権を行使しない」という一筆を取っている限りは問題はない。もっとも、そうした内容をきちんと説明せずに、著作者人格権を侵害するような復刻・転載は事実上不可能(権利者がそのような行為を許すとは思えない)。当たり前といえば当たり前だが。
http://d.hatena.ne.jp/sfx76077/20101229/
藤岡真氏blogよりコメントを転載)


藤岡真 2010/12/30 14:06
(略)
著作者に許可を得ないでも構わない唯一の例外は、財産権を譲渡するときに「人格権を行使しない」という一筆をとった場合です。これはキャラクターのようなもので、財産権を譲渡しながら、著作者が後に「このような使われ方は不本意なので止めるように」といった人格権行使によるトラブルを防ぐためです。

復刻するに際し、著作権者への敬意があるかないか。根本はそこだと思う。一行ツッコミ以上に、実は著者名を自分名義としてしまっている上に、権利者が名乗りでてきたとしても連絡先が書いていないという態度が問われているのだけど。
(補注)
この件について、藤岡真氏が明確な説明をしていたのを思い出しましたので、コメントの一部を引用しました。