景気の悪い東莞(2)。

広東省で働く内陸部からの出稼ぎ労働者(農民工)の里帰りラッシュが今年は早くも10月から始まっている。例年は旧正月春節)前後の1〜2月がピークだが、労働集約型産業での相次ぐ事業縮小や、輸出不振による労賃の切り下げが主因だ。また、労働契約法の施行で人員削減や賃金カットを迫られた企業も増えており、当局が打ち出した「労働者保護」の施策が結果的に裏目に出たケースもあるという。明報によると、10月11〜27日の期間に広州駅を出発した旅客総数は、昨年同期より13万人多い117万人に達した。大半が、帰郷する出稼ぎ労働者とみられる。同紙によれば、こうした前倒し組は、通例の旧正月を故郷で過ごし、正月明けに広東に戻る「出稼ぎ継続組」とは異なり、そのまま郷里で職を求める「永久帰郷組」になる公算が高いという。中には四川大地震で被災した土地での復旧工事や、故郷での農業にくら替えする声も多数あるという。
こうした帰郷ラッシュの一因が、労働契約法で定められた一般労働者の権利保護に関わる一連の施策だ。香港中小企業連合会の陳宗南・副会長は「労働契約法に加え、法定最低賃金の引き上げで、(財務圧迫による)競争力は大きく低下した」と指摘。「工場の閉鎖を恐れて、早めに里帰りする動きが広がっているのでは」と推測する。今年上半期の中国本土での企業倒産・事業所閉鎖は、外資を含め6万7,000件に達している。最低賃金の引き上げや労働契約法による経営環境の悪化のほか、世界的な金融危機の影響で、輸出産業は大幅な受注減に見舞われている。一方、地方の中核都市では中央政府が重点施策に掲げる「三農」政策で、インフラ整備などの公共事業が増えており、これも帰郷を促す要因の一つとみられる。広東省で操業を続ける外資系企業にとっても、熟練工の慰留が経営上の課題の一つとなりそうだ。(11/11NNA)

すでに中国自体が景気後退期に入っており、従業員帰休の動きが広がる中だから驚きはしないが、まさか「マクロコントロール」の名の下に、四川・重慶逝き臨客増発という事態にならないだろうな。