T氏との思い出

今年は二人の葬式に出ることになった。結婚式に呼ばれることは久しくなくなったが、まさか一ヶ月に二回も葬式に出るとは思わなかったのだ。T氏は高校時代からの先輩でそれがまさか四半世紀も付き合いが続くとは思わなかった。当時から酒の好きな人間で、ちょっと狷介なところはあったが、自分とはかなり性格が近くて色々お世話になった。三十を過ぎてから急速に体調が悪化し、会社辞めてからはほとんどなにもせずに生きており、まさかアル中病棟を経験するとは思わなかった。さすがにそこまで見舞いに行くことはできなかったが。自分の海外下放結了後も毎年一回は皆で集まって飲んでいたのだが、近年はだいぶ体力も落ちたのか早く切り上げることが多かった。去年の暮れに集まって、どこかで機会があったらと思っていた矢先であった。棺の中にいたT氏はあまりにやせ細っており、ぼくのイメージとはだいぶ掛け離れてしまい、それだけでああもう帰ってこないのだなと感じてしまった。また、こんな機会でないと皆集まる機会などないんだなという残酷な事実。