「ガラパゴス」を「グローバル」に展開するから逃げられる。

本日はTwitterGoogle Chromeを使っていても激重なのでここに書く。
http://twitter.com/SY1698/status/326656167449333761

そもそも海外で有名大学を出た人間が日系企業にすすんで入ろうという奇特な奴がいるのか?というのをもっと真剣になって考えたほうがいい。前にも書いたが、中国で清華・北京・復旦卒の人間を日系企業は取れない。

ということを前にどこかでつぶやいていたのだが、今日「小郡商事」の御仁に関連して思い出したのでふと書いてみた。海外下放時代に現地従業員を採用して(また逃げられたり)した経験を思い出しつつ。そうでなくとも大陸の定着率は悪い上に、日系的な仕事の仕方に慣れるスタッフなんておらんし、地方出身者が多いとなおのこと。日系企業が中国で人材を取るときは、大卒を避けて大専(短大相当)に傾斜するのもわからんわけでもない。向こうでも大卒は就職難という側面はあるのだが、それに乗じて大卒を取るとあまりの扱いの悪さに逐電する。別にこれは中国に限らないのだが、有名大学を出た人間でわざわざ日系企業に就職しようという奇特な人間はまずいない。下手すれば台湾企業以下というのは今や冗談ではなく「権限于鴻毛、責任于泰山」を実践している組織に人材が集まるはずもない。

いかに日本企業が歴史を教訓としていないかは、「人がいるからどうにかなるだろ」的な発想で1940年には「大連港滞貨問題」を引き起こし、また現地における労務政策の劣位ぶりは大陸南方進駐時のそれを思い出す。そういう体系的な教育を日本の組織はしない、つまり歴史に対する学びの姿勢がないのは徹底しており、それを趣味の延長線から資料をかき集めて体系化した(「満洲港湾整備史」)自分が異端であることを痛感させられる。それこそ海外駐在時は「語学研修」や「文化研修」をするだけではなく、日系企業として大規模に海外進出した「満鉄」あるいは「商社」をケーススタディーとしてどんな分野でもいいから研究をしてもらったほうがいいと思うのだが、そんな余裕のある企業なんぞ存在せんわw
【補注】
「大連港滞貨問題」は柳沢遊氏の「第6章 大連埠頭」を参照のこと。満鉄港湾史に言及している研究者は非常に少ないのだが、ぼくが「論叢III」ならびに「曠々満洲」で満鉄港湾整備史を書けたのもこうした先行研究があっての賜物だ。ただし施設面に軸足を追いた研究は今のところぼくの趣味の延長以外に見た記憶が無い。「戦時中の機帆船輸送」に関する論文も、柏原兵太郎文書の例の報告書を引いてないほどで、今年になって一括寄託になったばかりという事情があるにせよ(去年の時点では複写すらできず、概要を筆写せざるを得なかった)ちょっと残念。

満鉄労働史の研究

満鉄労働史の研究