「燃料投下」「再投下」。現代における「蒼氓」の世界。

http://wirelesswire.jp/london_wave/201301070103.html

日本で雑誌を眺めたりテレビでお正月に放映されているテレビを見ておりますと、やたらと「海外で頑張る若者」を取り上げる記事や番組が多いことに気がつきました。リクルート社によりますと、今年のトレンドワードは「海外を意識して就職活動する」という意味の「セカ就」(世界就職?)だそうであります。日本が景気が悪かったり先行き不安なので「いっそ海外に出てしまえ」というわけです。しかし、雑誌でもテレビでも取り上げられる人は、現地語はおろか、英語さえ微妙で、いきなり外国に行ってしまった、という場合が少なくない様です。見ていてなんだかぞっとしました。

さらに、現地で起業している方。英語も現地語もできないのに、どうやって売り掛け金回収や経理処理、従業員の管理、契約処理などやっているのか?言葉がわからなかったら細部の確認や、交渉なんて無理なわけです。いくら信用できる現地のパートナーなり友達なりいても、言葉がわからなかったり、地縁血縁ないのなら、ワタクシだったら恐ろしすぎて商売なんてやる気しません。従業員をどうやって監視するんでしょうか。先進国なら何とかなるかもしれませんが、発展途上国の場合は、法治国家ではなかったりしますし、コネで様々なことが何とでもなったりします。恐ろしいです。

「資金繰り」云々(昨晩は「踏み倒し会計」とそれに派生する民族性などを書いたら見事なまでに燃料投下する形となった)を書いたのは自分だが、今日読んでそうだ「年金」と「医療」の問題を指摘するのを忘れてたよ! というわけで再投下しておいた。実際、海外で起業するにせよ現地採用にせよ、年金は国民年金任意加入しておかないと「無年金」状態が到来するし、「医療保険」も同様で現地で怪我しても病院にかかれないという恐るべき問題が発生する。外地工が強盗に襲われて病院に運ばれたものの前払金支払要求があったので、数千元の仮払金を出金して病院に行かせるという事例すら見ているし、自分自身現地で入院した経験も持っているから、安易な礼賛は「棄民政策」=「蒼氓」と重なり合って見える。一瞬「満洲移民政策」を連想したが、戦後も「伯国移民政策」が継続されたこと、またそれが巡り巡って「日系ブラジル人派遣工」問題につながっていることを思うとその根は深い。