でも、キャッシュフローはプラスなんだよねw

http://d.hatena.ne.jp/SY1698/20100630 の続き。
財務諸表を分析してみた。


(1) 国の財源(特会抜き)
http://www.mof.go.jp/jouhou/syukei/fs/2010_01b.xls
B/S上では356兆の債務超過、P/L上では経費が3兆の悪化(うち出資金評価損2兆、資産処分損益0.3兆)、C/F上の業務収支は9兆の赤字。
実は業務収支の悪化は租税収入の現象に直結しているので、租税収入の増加が業務収支(プライマリーバランス)の改善に繋がるのですか、と思って見てみたら、財務収支の項に「借入金の返済による支出」とある。あれっ、国の債務はすべて「公債」では?ちなみに、ここでは「特別会計」は含んでいない。


(2) 国の財源(特会込み)
http://www.mof.go.jp/jouhou/syukei/fs/2010_01a.xls
「区分別収支計算書」はC/F計算書に相当。本業に相当する業務収支が安定してプラス(48兆)なのに、B/Sで317兆の債務超過になるはずがない。考えられるのはただ一つ。資産評価の前提がおかしいということ。つまりどういうことかというと、意図的に資産額を低く評価し、債務額を高く評価している。
前にも書いたが、出資金評価損(日本政策金融公庫)2.0兆円って、そんなに経営が悪化した客観的な証拠があるんかい。JTは上場会社だから時価評価にするにしたって、今度は他の国有資産を時価評価したらどうなるの?という話。土地の含み益で債務超過なんぞ一発で吹っ飛んで一気に資産超過になるんですがね、間違いなく。公的年金預り金(年金債務)が136兆あるとはいえ、それがあるから債務超過額が増えるということはなく、むしろ特別会計を含めたら減っているわけで、それ以外に考えられない。
現に、注記にはこの記述がある。

(注1) 国が保有する資産には、公共用財産のように、行政サービスを提供する目的で保有しており、売却して現金化することを基本的に予定していない資産が相当程度含まれている。このため、資産・負債差額が必ずしも将来の国民負担となる額を示すものではない点に留意する必要がある。


(3) 国の財源(連結ベース)
http://www.mof.go.jp/jouhou/syukei/fs/2010_01c.xls
最初に書いておくが、財務省のサイトは敢えてミスリードを誘うような記述になっていることに注目する必要がある。それは、この部分だけ単体と連結の比較になっていて、前年対比ではないということである。どういうことかというと、業務費用で8兆増えたうち、「その他の費用」が6兆増加しているが、その内訳が全く説明されていないので、わからないのである(出資金評価損はここでは相殺される)。何の費用だ?


というわけで、この3種類の財務諸表を見ただけで、財務省が煽っている「財政危機」が嘘っぱちというのがすぐわかる。少なくとも、出資金評価損で下手に時価評価をするくらいなら、国有資産の時価評価をやってみて、土地の評価差額を突っ込んでみれば一気に債務超過は解消するはずだ。
さあ、お前の罪を数えろ!