「2012年の反日デモ」定点観測(2)

流れる情報はわかりきっているので、敢えて一切の時事報道を見ずに、事実を積み上げて類推する。
そもそもこの2012年現在において、中国が世界の工場というのはどれだけ認識が遅れているのだ。リーマン・ショック前の2008年時点で台湾系企業は成都重慶などの内陸部に足を伸ばし、さらにはベトナムその他に転換を図っている。中国は「市場」であってももはや「工場」ではない、という認識を自分は持っている。7年前なら、2泊3日を硬座で揺られて沿海部にやってくる民工はいたが、今や希少種。民工が集まらないというジレンマはここ数年悪化しており、台湾系が内地に入り込んだのはそれが要因。
だから、今回は「学生」「民工」がさほど流入せず、また最初からそういう「筋」の人間が流れ込んでいたことにもつながる。この事件をきっかけに中国から外資が撤退する分水嶺となるかもしれない。ただし、簡単に外資に撤退されても困る事情もあるわけで(完成品の組立ならできるが部品産業そのものを興す力はない)このあたりをどう考えるべきか。明日と19日以後のデモがどう収束するかが見所ではある。
【参考】

2005年5月1日 遼寧省瀋陽火車站前にて。