「介護ビジネス」大手の蹉跌(2)。

今度は、「介護ビジネス」はおいしい商売か?という、根本を探ってみる。実は、グッドウィル・グループのプレスリリースを見ると、「特に在宅介護事業において収益の確保が困難な状況」と記載しているが、これって本当なの?というのが正直な疑問であった。
ということで、グッドウィルグループ損益計算書を見てみると、営業利益ベースでは売上比2.9%の9,228百万円(2006/07〜2007/03)しかない、特に介護・医療支援セグメントでは赤字となっているのだが、売上総利益(粗利益)ベースでは、売上比25.4%の82,185百万円となっている。粗利益ベースでこれだけの金額を計上しているのに、営業利益率がさほど高くないというのは、「販管費が高すぎる」これに尽きる。
ちなみに、粗利益ベースの数字で見ると(2006/07〜2006/12で、中間期の数字だが)、コムスンでさえ売上比27.2%の9,536百万円、今回事業譲渡の対象となった日本シルバーサービスは売上比86.7%の9,634百万円を計上しているので、「介護ビジネス」の粗利益率は極めて好調に推移していると判断できる。
そのからくりは何か。
「介護ビジネス」の売上源は、顧客である要介護者からの服務収入、またそれを補う「介護保険報酬」であるのは言うまでもない。では、その費用はと考えれば、クソ安値で雇っているヘルパーに対する給与その他である。つまり、不正請求をやらかした上で*1、なおかつヘルパーを安値で買い叩けば、必然的に「粗利益率」は高まるのである。当たり前の事実だが。
では、何故に販管費がここまで水脹れしているのか?
少なくとも、買収過程で生じた「のれん」償却費用、悪い言い方をすれば「溶かし込んだ」費用の償却が数十億あるのは事実であるが、たぶんそれだけではない。広告宣伝費、その他諸々の費用、あるいは役員報酬その他が高すぎる、または各種対策費用としての支出が多い(ここは有価証券報告書などを見て調べる必要があるが)、どうもここがあやしい。
以下に続く。

*1:数千万円どころか、自主返納する金額が億円を超えるというのは、組織ぐるみと判断するほかない。