「大井川鐵道」37年間の財務諸表。

http://www.oigawa-railway.co.jp/choice_tour.html#keihan
そもそもは「大井川鐵道」の元京阪3000型の引退がきっかけなのだが、ふとこの会社、子会社「大鉄技術サービス」に吸収合併されて社名変更して「大井川鐵道」になったことを思い出した。とはいえ債務超過の会社を合併するということができるのかというのが疑問だったのだが、今回37年間の財務諸表を並べてみてだいぶ状況が理解できた。

官報で決算公告が開示されているのは1976/03月期(第102期)以降。すでにこの時点から債務超過の状態にあるのだが、SL運行などで観光客の増加が寄与して、70年代後半から90年代前半にかけて会社全体では黒字基調を保ったが、当然ながら債務超過解消には至らず、1998〜2000/03月期に3期連続赤字(総額8億円近く)を積み上げた。これが「合併処理」に至った原因。

2001年3月期に子会社に吸収されるという変則合併となるが、このとき固定資産の時価評価により総資産が水増しされ、評価差額を資本準備金に取り込んで債務超過を回避するという、寿都鉄道もかくやという会計処理をまさか近年になって見るとは思わなかった。さらに2005年3月期には140百万円の減資差益を資本準備金に繰入れているが、2012〜2013年3月期に二期連続赤字を計上しているのが気になる点。

こんなスキームを考えたのは誰だろう。普通の経理屋が考えつく代物ではない。