「技術者」の本領を知る。

http://d.hatena.ne.jp/SY1698/20121111/ の続き。
今日は休みを取っていて一日寝転がっても良かったのだが、一昨日発見した「柏原兵太郎」文書の存在を知り居ても立ってもいられなくなって、複写できないのは知ってはいたが現物を目にしなければなるまいと出かけてきた。要旨を書き写してみるが、やはり自分の想像通り「技術者」としての立場(良心)から起こした報告書であることを知って安心した。
大戦末期に制海権喪失により海上輸送の鉄道輸送への転換が行われたことはよく知られており、関門間は「関門トンネル」開通で鉄道一貫輸送が実現されたが、青函間は青函連絡船ボトルネックとなりそれをカバーするため「機帆船」と呼ばれる小型船での少量高頻度輸送が志向された。それに対する具体的な対策を記したのが本報告書であり、荷役方法・施設整備・実稼働日数まで試算したものとなっている(それとて「単に結論を誘導するための手段」と本人は記しているが)。青函間の機帆船輸送については函館市史通説に詳しく、また輸送統計資料を基にした論文は若干存在するが、技術・運用面から分析したものはあまり多くはない。これは港湾運送業自体が労働問題などと連携した形で論じられることが多いためだが、こうした見地にも光を当てることが必要なのではなかろうか。