「非実在」よりも、明確な判断基準がない点に着目。

その2. 東京都青少年の健全な育成に関する条例(一部改正)
http://www.metro.tokyo.jp/INET/OSHIRASE/2010/02/20k2h102.htm
これについては、現行条例と、改正案を首っ引きで見てやっとわかった。罰則規定(第24条の3)は、現在「淫行」(第18条の6)に対してのみだが(2年以下の懲役又は100万円以下の罰金)、今回の改正案で、児童ポルノ関連についても一切合切第18条の6に包摂される。その追加された条文は


(1) 第18条の6の2: 環境整備できなければ都知事は有罪
(2) 第18条の6の3: 事業者が協力しなければ有罪
(3) 第18条の6の4: 誰でも「児童ポルノ」を所持すれば有罪
(4) 第18条の6の5: 13歳未満の「着エロ」は犯罪*1

となる。(3)は、第7条の2が生きてくる。

二 年齢又は服装、所持品、学年、背景その他の人の年齢を想起させる事項の表示又は音声による描写から十八歳未満として表現されていると認識されるもの(以下「非実在青少年」という。)を相手方とする又は非実在青少年による性交類似行為に係る非実在青少年の姿態を視覚により認識することができる方法でみだりに性的対象として肯定的に描写することにより、青少年の性に関する健全な判断能力の形成を阻害し、青少年の健全な成長を阻害するおそれがあるもの

当初の目的としての「児童ポルノ」撲滅という趣旨に従えば、決して間違っていない(現に18歳未満販売禁止の書籍とかゲームはあるわけだし)、問題があるとすれば「非実在青少年」の枠が如何様にも捉えられるために、恣意性を持った運用が可能であるという点だろうな。*2

(爾後更新)
17日の日記(本日の「流局」)に関連して、貂鷲さまより24条の3は、18条の6の2以下を適用対象としていないのではないか、という旨の指摘を受けました。この件については判断が難しいところではあるのですが、小生は「18条の6」とする場合は、それに付随するものはすべて適用範囲内ではないか、と考えています。理由は17日のコメントをご覧下さい。
もっとも、第18条の6の2以下は適用対象外だとすれば、この件については皆脊髄反射して過剰反応しすぎたのではないか、ということになります。ただし、どちらにしろそのような空文をわざわざ条例化する必要性すらもなかったわけで、なんのための条例改正だったのか、という疑義は残ります。国際向けのポーズか、それとも都知事の支持率低下を狙ったのか、邪推すればきりはありませんが。
(爾後更新その2)
やっとわかった。そもそも、騒ぐ必要性すらなかったのだ。
最大の理由は「もともと罰則規定がない」ということ。
本エントリは、誤解の記録として存置。

*1:これは「扇情的な姿態」という但し書きがあるように、何も親御さんが撮った家族写真がすべて該当するわけではございませんので。誤解を防ぐために注記しておく。

*2:そもそも、努力義務の条文を「罰則規定」にリンクさせている「ように見える」のが最大の問題なのだが。ある意味「人権擁護法案」よりも悪質。