「ケルベロス」、掃き溜めを9000億円で買収。

【ニューヨーク14日時事】自動車大手ダイムラークライスラーは14日、業績不振に陥っている北米部門クライスラー・グループを米投資ファンドサーベラス・キャピタル・マネジメントに売却すると発表した。新会社「クライスラー・ホールディング」を設立し、サーベラスの子会社が株式の80.1%を55億ユーロ(約9000億円)で取得する。7〜9月期の手続き完了を見込んでいる。1998年の「世紀の合併」から9年、独ダイムラー・ベンツと旧クライスラー経営統合は成果を上げられないまま、幕引きを迎えることになった。
ダイムラーの声明によると、同社は株式の19.9%を保持し、クライスラーとの提携関係を維持する。経営を圧迫していた150億ドル(約1兆8000億円)を超える退職者向け医療費・年金債務はクライスラーが引き継ぐ。また、ダイムラーは売却に伴い、社名を「ダイムラー」に変更する。同社のツェッチェ社長は「ダイムラークライスラーの双方にとって最大の価値を生み出す解決策と確信している」と強調した。ダイムラーは、クライスラーの工場従業員の大半が加入する全米自動車労組(UAW)の支持を取り付けているとしている。
クライスラー部門はガソリン高や日本車メーカーとの競争で業績が低迷。昨年は売上高が前年比6%減少、利払い前・税引き前損益(EBIT)は4億6800万ユーロの赤字に転落し、ダイムラーにとって経営上の重荷になっていた。ツェッチェ社長は株主からの圧力を受け、今年2月に売却の意向を表明。サーベラスのほか、投資ファンドブラックストーン・グループやカナダ自動車部品大手マグナ・インターナショナルなどが買収に名乗りを上げていた。

ケルベロス」とは、サーベラスの別名。詳しくはこちらを参照。
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