OSK「へぼ侍」から NHK連ドラ「ブギウギ」まで

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そもそも、8月に大阪に出向いたのは、OSK「へぼ侍」(原作坂上泉氏のデビュー作) の公演があったからだが (速攻で飛行機の予約を入れたが、チケットと宿の予約は後回しになった) まずはOSKが無事昨年で100周年を迎え、公式史も今春に刊行され、色々ありましておめでたい限りです。原作は、2019年暮れの一時帰国時に購入して一気に読み切ったのですが、やはり若い才能はすさまじい (デビュー作が松本清張賞で、二作目に至っては直木賞ノミネート・・)、またそれをよくぞセレクトして講演に踏み切ったものだと思います (これも偶然の極みとはいいますが) 前日満員御礼で、なんと来年2月には関西、東京で再演ですってよ。そら、連ドラに出演する劇団員なんてそうそうおりませんから、ここで一気にやるしかないでしょ。

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それはさておき、NHK連ドラ「ブギウギ」、言うまでもなく笠木シズ子を題材にした作品で、とあるところとの関係から (察しろ)、なかなか取り上げられづらい案件だったのですが、OSK100周年もあってか、ある方面は伏せることで乗り切ったのでしょう。そちらのほうは、様々な因縁がありすぎてですねえ、なかなか表に出しづらい話なのは、過去に小林信彦のエッセイを見て知っていたのですが。

特筆すべきことは、翼和希 (「へぼ侍」主演)を筆頭に、何人もの劇団員がドラマに出演しておりまして。ふつう、こういうものと言えば、某電鉄系OGが起用されることが多かったのですが、今回は一切なし、それは劇団、社史編集委員をはじめ様々な方面から「ヅカとOSKを一緒にするな」としつこく言い続けたとも、それに対して NHK (BK) もきちんと応えたというべきでしょう。基本的には、戦後間もない時期がメインとなるでしょうけど。(そこがですな、ある方面を匂わせずにどう表現するかという話です)

先週がちょうど「桃色争議」のあたりで、史実では東西が偶然呼応する形となったのですが、これが松竹に与えた影響は大きく (水の江瀧子を解雇することは事実上できなかった、飛鳥明子は謹慎として引退を迫られたがスタッフとして残った)、東西両方ともこの失墜したイメージの改善を図るため「海外公演」をもくろんだのですね。それで東京側は「ソ連経由欧州公演」(がうまくいかず、台湾公演にとどまる)、大阪側は大阪劇場を買収して改装間合いで「満洲公演 (大連)」を満鉄・大阪商船の後援を得て実施した流れがあります。特に後者、満州日報記事でも、笠木シズ子 (三笠静子) の名前は、広告記事でも取り上げられていました。(まさか、10年前に掘り出すまで、こういう部分が明らかになっていなかったのが驚きだが)