創作に持ち込むべきものとそうでないもの

#豊島鎮守府というものを作っておいて「創作に暗黒面は持ち込んではなるまい」とどの面下げて言えるのかと言われればそれまでだが、引き揚げ界隈の現実は想像を遥かに上回るから自分には書けないし (満蒙開拓青少年義勇軍について前に調べたが正気度を削られた)、一時期「満洲港湾」絡みで満鉄包囲作戦に対抗する話を書こうとして筆が止まったのは、五族協和どころじゃない事実を知ってしまうと脳天気に仮想戦記など書けなかったからだ。

そういうこともあって、自分の作品は「前向きな」作品が多い。能天気に前向きな内容にするつもりはないが、現地指導と文献調査により細部まで作りこんだ世界観で登場人物を動かすかが、歴史創作の持つむつかしさであり醍醐味であろうと考える。