最終決戦は「美馬」が制する。

昨日は必勝を期しながらも、田中将大が打ち込まれて敗戦という状況だったが、今日の先発は美馬・杉内。実は杉内先発という段階で、昨日の試合自体は「捨て試合」とも一瞬考えた。
美馬の立ち上がりは決して良くはなく、二死満塁まで追い込まれるも6番坂本を打ちとって無難に切り抜ける。むしろ杉内のほうがコントロールは不安定。遊撃手坂本の失策で初回に1点、岡島の二塁打で2点目(ここで杉内降板、ベンチで涙目)、4回に牧田が澤村から本塁打で3点目。巨人投手は杉内-澤村-内海-西村の総力戦でつなぐ。
美馬は的を絞らせないピッチングで6回無失点。実は1回の二死満塁と(これは松井稼頭央の失策によるが、実質的には打ち取っていた)、3回の無死一塁時に松本に送りバントをさせなかったことが分水嶺ではなかったか。ここで相手の嫌がりそうな手法を取らなかったのが意外で、原監督らしくないように思えた。
7〜8回は則本が「黄信号」のまま無難に切り抜け、9回はまさかの田中将大登板。どう考えても「赤信号」だろ。見ている方が不安になる。しかし、昨日のようにストレート中心ではなく、スプリット中心としてどうにか切り抜ける。雨も激しくなる中、一球ごとに球場がどよめく。最後の代打矢野を三振に打ち取り、これやりすぎやろという形で日本シリーズを制しましたとさ。

星野仙一 日本一に輝く あと松井稼頭央も!

星野監督は短期決戦に弱いというのが定説で、今まで何度も日本シリーズに出ながら選手と「心中」して日本一を逃すのがお約束となりつつあったが、今回は「投手を使い潰す」采配に徹したような気がする。田中則本美馬の三人以外は考えていないような、近代野球にあるまじき登板パターン(三人以外の信頼性が今ひとつなんだろうが)。ただし、それが今回は奏功したといえなくもない。特に、田中将大で負けた次の日に「美馬か」と思わせておいて、多彩な球種で相手の的を絞らせず、相手にバット短くもたせるほど意識させる配球には、なぜか打てない「魔術師グーリン」を思い出したw MVPになったのもわかるんだけどね。

でも田中将大の登板は正直やりすぎ。7回まで美馬を持たせて、8〜9回に則本ならわかるけど。あまりにあざといような気もするが、やはりこれは時代の要請なんだな。こういう年もある。あの打率並みの勝率で、100敗も期待された「田尾監督」の暗黒時代が遠い昔のようだ。2005年は「紀藤先発」とか「礒部クリーンアップ」とかあって、さらに「Mr.カラスコのFA宣言」で売っていた時代があったんだからねえ