「歴史に新解釈を重ねる」大野歌劇の真骨頂。

歌劇 2012年 02月号 [雑誌]

歌劇 2012年 02月号 [雑誌]

いや対談時点で脚本の直しを入れている場合じゃないんですがw
パンフレットを読めばわかるが(前作の「記者と皇帝」もそうだが)、登場人物に対する(異常に)細かい注釈と設定には定評があり、その力の入れ具合が大野作品の醍醐味である。脚本は次号の「ル・サンク」を待つことにしよう。
一般的に「王位を賭けた恋」と言われるエドワード8世退位事件だが(ちなみに弟は「英国王のスピーチジョージ6世)、晩年は夫婦仲も冷え込んでいたと言われているものの、そうした近年の研究を最大に盛り込みつつ、極めて独創的な作品に仕上げている。それは「ロシアン・ブルー魔女への鉄槌」「記者と皇帝」で定評があるのだが(登場人物がマニアックなのも同様)、期待どおりの作品となっていた。歴史を学ぶことが面白くなる一品。
あと「Misty Station」は演出上色々な非難も受けるだろうと思ったが(特に保守的傾向の強い客層を考えればなおのこと)、退団予定者に花を持たせたいという強烈な意志は感じ取れた。特に彩星りおんのエトワールは必聴。今回で退団とは勿体ない。東上したときにもう一度見に行けるかどうか気になるところだが、発売当日で「售完」となることは必定なので、縁があればという程度に考えている。