現実が「ディストピア」に追いつくのだろうか。

虐殺器官 (ハヤカワ文庫JA)

虐殺器官 (ハヤカワ文庫JA)

http://d.hatena.ne.jp/Projectitoh/
伊藤計劃氏渾身の作。前に気になってはいたが、本屋で久々に文庫本コーナーを回ったら目の前にあったので速攻で査収。非常に優れたSFであることは言うまでもないが、それは現在の世界情勢を織り込んでいること以上に(ソマリアの近未来像さえも大胆に予測)、主人公の根幹をなす死生観と母親との関係が、著者と二重写しになっているからだろう。
一気に読みきることは可能だが、勿体無いので時間をかけて読むべき作品。