第14次進撃作戦(メイちゃんの執事)

バウホールが売出開始1時間で捌けてしまい、青年館で観劇するしかなかったのだがそれでも平日しか取れなかった。青年館で全席售完となるのはキャパの問題からいって極めて稀で、それだけ少女漫画原作ものが根強い人気を誇っていることがよくわかる。
主役以上に存在感を際立たせていたのは、剣人役の美弥るりかと、詩織役の白華れみ。特に白華れみは狂気と妄執を宿したいい役が演じられていたと思う。今までバウもので悲劇のヒロインを演じる機会が多く(「BUND/NEON上海」と「リラの壁の囚人たち」)それとは180度異なるもので、一気に化けた印象。また、美弥るりかは「リラの壁の囚人たち」で演じたナチス尉官とはまた正反対にやんちゃな役(でもって原作のルチア編では事実上の主役)をのびのびと演じきっていた印象を受けた。あと、本郷金太郎役の汝鳥伶ははげヅラかぶっての演技、また美穂圭子のソプラノは相変わらずの安定感で、出番が意外に少なかったのが残念。もっと歌わせろよ。「BUND/NEON上海」並の無駄遣いと書くぞw
作品自体は面白かったのだが、残念な点を挙げれば、第2幕で主人公(柴田理人役の紅ゆずる)の敗戦から、理人・剣人の兄弟勝負まで持って行ってしまっているから、とんでもないハイペースで話が進んでしまっており、特に原作ルチア編で描かれていたメイ・剣人の間の心の交流が(デュエロ直前に)ほとんど描かれておらず、さらに第1幕でクラスメートの人物紹介がきちんとなされていないために、クライマックスシーンが(原作を読んでいないと)非常に突飛に映ってしまう。
その代わり、原作のダークなエピローグを敢えて割愛し、ラストシーンをあのオチに代えたことで、構成の欠点はあったものの、原作を超えた秀逸な幕切れとなった。これは演劇だからこそできた芸当で、またそれを見ることのできた幸運に感謝したい。
追記
http://cafesprite.blog46.fc2.com/blog-entry-606.html
「BUND/NEON上海」で美穂圭子を無駄遣いと喝破した方の観劇記。
「ねえよ!こんなのねえよ!」という言葉にに尽きるんだけど、
「男役に執事やらせたらうけるに決まってる」そうだよねぇ。
その視点はなかったわ。シスター・ローズ(美穂圭子)に対する感想は激しく同意。