セゾングループ解体後の正史

セゾンの挫折と再生 (Series SAISON)

セゾンの挫折と再生 (Series SAISON)

中古本支場でも高値安定という買いづらさはあるが「セゾンの歴史」が実質的な正史であり、これはまた解体後の正史というべき書籍である。「堤清二セゾングループ」がその責任を堤清二の個人的資質に帰そうとするきらいがあったが、本書は日本経営史研究所にて編纂されたこともあり、内部文書や有報などを用いて客観的な記述に努めている点に着目したい。通史的な部分は序章にまとめられているが、どのような形で解体され、また主要企業が再生を果たしたかを淡々と書いている。残念ながら流通業以外の部分は断片的な記述に留まっているが、それでもパルコ、良品企画、ロフトなどの優良企業を生んだセゾングループの位置付けを正当に評価している点は一読を進めたい。内容からして流通史ゼミの課題図書にはなりうるだろうね。(またここに書かれてないからと言って、日本ニッケルの歴史を掘るうちもたいがいやが)