- 作者: 立石泰則
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 1995/02/01
- メディア: 文庫
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ただし、刊行当時は故人となっていた森田重郎の存在について断片的にしか記述が見られないのが惜しまれる。西武鉄道の中でも継子的存在であった西武化学工業を多角化戦略で成長させたのだから。興味深いのは、堤清二の蹉跌は森田重郎とほとんど同じ道を辿っている点である。過大な不動産投資によって経営を追われたところだけ見ればそうなのだが、多角化志向も決して収益力向上には繋がらなかったことを看過してはならない。西武化学工業は売上高こそ急成長を遂げたが、営業利益率はけっして高水準ではなかった。それは西武百貨店も同様。それをわかったうえで本書を読み込む必要がある。単に堤清二の「狂気の経営」に帰せばいいという問題ではないのだ。