異性を描く場合の表現抑制

横田濱夫「はみ出し銀行マンの恋愛日記」で主人公が女性と夜の城ヶ島に忍び込むという場面に影響されてむかし一人で城ヶ島公園に忍び込んだこともあったが、あと宮脇俊三「殺意の風景」で不倫関係にある女性を殺そうとしながらその体の線が出る服装に目のやり場が困った記述とか、そういう自らの感情を認識しながらもそれをどう抑えようかという葛藤がむしろ男性が描くべき女性像であろう。
その点女性のほうがむしろ容赦なく、幸田文「きもの」では、市電に乗っていたらぶっかけられた話を書き出したり、山崎豊子作品におけるベッドシーンの多さなど、視点が違うから仕方がないのだが、これを男性が下手に書くと「愛の流刑地」になっちまうのでやらないに越したことはない