創作における人物造形

創作における人物造形というのが一番難しい。
自分という枠を抜けることが難しいのはいうまでもないが、あえてそこから抜けるには人物観察や今迄の人生で接点を持った人間をいかに織り込むかが鍵になるし、またそこまでに調べてきた、読んできたことを織り込むのもなかなか手間がかかる。歴史短編にしたのも、数々の調べ物を無理なく自分の世界観に取り込みための手法である。歴史背景をきちんと押さえていれば、作品の破綻は避けられる。いかに荒唐無稽に見えても、その背景が事実に準拠するものであれば、読んでいてつらくなるということはない。
その上で、登場人物をいかに動かすかという問題もあるのだが、これとばかりは書いてみないとわからない面がある。自分でもやってみてわかったのだが、これがイメージできないと、まとめるまでの作業が苦行になる。出来上がればどうということはないといえ、こんな苦労はするものではない。プロット書かんとつらい
人物造形において課題となるのは、その人物がどういう生活を営み、またどういう振る舞いをするかという点にある。そういう意味では、昔の新聞記事の生活面は面白い。歴史の狭間に埋もれた数々の人物像をいかに描き出すか、それが創作の愉しみでもあり苦しみでもある。人物造形の訓練ができていない場合は、自分の未経験の領域にある分野の作品を研究するのは有用だ。例えば、男性が女性を主人公にした作品を作る場合、女流文学作品を読み込む作業は必須となる。今迄そういう作品はあまり読まなかったのだが、この作業はかなり役に立った。