本気になって「糞青」潰さなくても。

重慶市の唐衛江という28歳の若者は友達が購入した「佳能」*1プリンターを見に行ったところ、おまけについている中国の有名女優の写真集(CD)の目次をみると、「外国」で撮った写真となっており、その外国の項目の下に、「台湾、香港」と記されている。これが事件の発端となった。何といっても、台湾と香港は国ではなく、地域であり、中国の不可分の領土である、ということで、唐青年は憤慨のあまり*2、佳能(香港)有限公司を訴えることにした。

  1. 直ちに全中国人民に謝罪の広告を出すこと。
  2. 直ちにCDの発送を取りやめることと、既存のCDを廃棄処分すること。
  3. 中国人民が侮辱されたため、全中国人民を代表して1億元(約15億円)の賠償金を求める。それを貧困地域での小学校設立に寄付する(100カ所)。

これに対して、北京大学の賀衛方教授は「北京大学法律情報ネット」に、「1つのホットの事件に、3つの理性的提案」と題する文章を寄稿した。それによると、中国の神聖なる領土を侵犯しようとする行為は断じて許せない、ただし、以下の問題点があるという。
第1に、唐青年は訴訟を起こす権利を持たない。このプリンターは彼が購入したものではない。また、唐青年は委任状をもらっていないため、全中国人民を代表すると言っているが、その代表権限を有しない。*3
第2に、この事件の性格は民事訴訟なのか、政治問題なのか、明らかにしなければならない。憤慨を感じることは分かるが、政治問題であるとすれば、外務省を通じて相手国(日本)に対して抗議すべきだ。民事訴訟であれば、バーゲニングとなる。神聖なる愛国精神についてバーゲニングすることは不謹慎ではないだろうか。*4
第3に、1億元の賠償請求の根拠は明らかではない。一般的に、損害賠償請求の場合、同型プリンターの売り上げの一定割合を請求するのだが、こうした計算はなされていない。逆に、全中国人民(台湾、香港、澳門を含む)が受けた侮辱の度合いからすれば、1億元は安過ぎる。というのは、全中国人民は最低でも14億人いる。それを基に計算すれば、1億元の賠償金を請求しても、1人当たり0.07元(約1円10銭)にすぎない。これこそ中国人民に対する侮辱ではないか。さらに、全国人民の代表権限を持たない唐青年は賠償金を処分する権限はない。小学校に寄付することはいいことだが、寄付したくない人民もいるだろう。(2/2時事)

えらい火消しが早いんですが、中南海。これぞ、素晴らしき教育の精華(w
そもそも28にもなって、こういうことで「義憤」を感じるとは、さすが糞青重慶市のお里が知れますな、って「蜀」の国だからしょうがないか。*5

*1:キヤノン」の中国名標記。「キャノン」=「加農」

*2:まさに「糞青」の言葉の由来どおり

*3:どうやって委任状を14億人から取るというのだ

*4:今まで「愛国心」を安売りする教育をしておきながら、今更何を

*5:上海人並みの地域差別ギャグ