「不相称的結婚」補遺。

数日前にエントリした「不相称的結婚」だが、ロシアの画家Vasily Pukirevの「The Unequal Marriage」 であることが判明した。帝政ロシア後期の1875年に製作。モスクワ国立美術館所蔵ということもあって、日本ではほとんど知られていないのだが、貧しい家の若い女性を金持ちの老人が結婚という形で買い取る、という構図。

(画像はこの絵の縮小版)
ところがこの絵、そんな簡単な解説で済むような代物ではない。元来は「聖職者と高慢な官僚主義への批判」ならびに「一般大衆の良心覚醒」を意としたかなりに政治的なメッセージの強い絵なのである。当時の評論家が「災害・殺戮などをテーマとした作品でもないにもかかわらず、ようやく政府が公開を許可した」と言っているのは、そういうことを指している。*1
実は古典絵画というのは描いてあるものにはそれぞれ意味が存在しているわけで、技法云々を言い出すと正しくその絵を解釈できなくなる、ということを知ったのはこの本のおかげ。
図解・名画の見方 (別冊宝島EX)「図解:名画の見方」西岡文彦著。10年前の本なので一般書店で売っているかどうかはわからないが、一読を薦める。