「鉄道会社と財務諸表」補足

昨日いくつか質問を受けましたので補足します。

「営業報告書及び事業実績報告書」は参照されなかったのですか?

http://www.mlit.go.jp/onestop/061/images/061-023.pdf
鉄道事業者は毎年国土交通省に「営業報告書及び事業実績報告書」を提出する義務があるので、それを参照する手法があるのは事実ですが、今回はそれを用いませんでした。それはこれらの報告書はいわゆるP/L(損益計算書)ベースであるので、財務諸表の実態を分析するにはこれでは不十分なためです。

北総鉄道の第26期〜第30期はなぜ官報に出ていなかったのでしょう?

すべての会社が官報に決算公告を行うわけではなく、一時的に公告媒体を切り替えることはあります。すごくいやらしい書き方をすると「官報検索避け」であえて専門紙や地方紙に載せるケースなどもあります。
http://blog.livedoor.jp/advantagehigai/archives/65866631.html
当該記事にある「アムスク」のケース (日本工業新聞) や

銚子電気鉄道」のケース (千葉日報) などです。
そう考えると、北総鉄道の第26期〜第30期は一時的に公告媒体を切り替え、後に戻したというのが自然な流れです。(それは大井川鉄道も同じことで、第102期より前は官報に決算公告を行っていません)
なお、有価証券報告書提出会社 (上場会社ならびに第三者割当増資・社債発行会社は非上場会社でも提出義務) は決算公告は不要ですし、現会社法では電子公告を行うことで決算公告に代えることができ、コストも安いことから近年ではこの方式が普及しております。