勉強の時間だよ(偽満産業史)。

「偽満」は「欺瞞」に掛けているだけで、特に政治的な意味はない。
冗談はさておき、満州史を論じるには当時の産業構造を認識することが必要である。例えば「葦」の件にしても、当時の人絹(スフ)やその製法(ビスコース法)、パルプの需給構造を理解しないと、あの時代に「葦」や「豆桿」を製紙原料にする意味がわからない。ちなみに満州の製紙業は歴史的には失敗という結論。北鮮地域のみ辛うじて人絹パルプが量産できた程度。錦州は内地から機械を移設して、原料の7割は東満パルプから供給を受けていた段階で、その帰趨は明らかであろう。
どちらにしろ、国家社会主義の実験は破綻したわけだが、こうした無理押しも当時の軍部官僚に「財閥憎し」の感情が強すぎたからではないのか。昭和維新の歌「財閥富を誇れども〜」に当時の世相が現れている。財閥トップの暗殺が相次いだ時勢でもあるし、また別の言い方をすれば、新旧財閥間の代理戦争でということもできよう。