「III」は草稿へ、「IV」は調査を残すのみか。

2年近く資料調査を続けているが、どうにか「III」「IV」の目処が立ちつつある。前回の第58次作戦で現地書籍の入手を果たすことができたが、やはりこういう資料をかき集めてきただけのことはある。更に駐在時に大量に写真を撮っているのは大きい。港湾史を論じるのは若干難しさはあるが、資料そのものはほぼ出揃っている。問題は趣味的なものが皆無にすぎて誰もついていけない点である。そのため「上海地域に蒸機がいた頃」という章を追加してもいいであろう。
あと、欧州人に比べると日本人は「記録」という作業に弱い。蒸機リストを作るのは地理的に遠い欧州人であり、歴史調査も意外に弱い。蒸機撮影には一日の長があるものの、それ以外の課題は多い。ただし、貨車だけは自分だけが突っ走っていって誰もついていけない域に逝ってしまっている。写真撮影対象にする人間もたいがいだが、更に原書まで紐解く者はいない。統計、記事、技術すべて押さえる作業はまずやらない。歴史研究だけなら先行者はいるが、網羅的な作業はまず真似できない。誰かが手掛けなければ歴史に埋もれるという危機感でやってきたが、それでも納得いく結論は出ていない。「労務問題」「国家社会主義」を今の日本と重ね合わせたときに何が見えるか。