「現実」は映画以上に重いが、それを切り拓くのは「意志」である。

ガタカ [DVD]

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自分は「ディストピア」ものの映画が好きで、まずは「リベリオン」を推奨するのだが、この映画も外せない。今や、体外受精不妊解消の切り札として徐々に普及しつつあり、またエコー検査による「異常性の発見」も当たり前となっている中、現実は映画に追いついていることから目を背けてはならない。また、眼前の宿命をどう踏み越えるべきか、という示唆に富む映画である。その点では「リベリオン」よりも「ガタカ」のほうがテーマは重い。
個人的には、「適正者」でありながらも半身不随になり、「金でDNAを売った」という屈折を抱えながらも、主人公の夢(宇宙飛行士)への協力を惜しまないジェロームが好ましい。また、この映画において純粋な「敵役」は存在しない。「不適正者」である兄を軽んじるアントン、あるいは執拗に捜査を要求するヒューゴ捜査官であろうか、いやそうではない。派手なアクションとて存在しない、「カルト映画」などという範疇に収まるべきものではない。だからこそこの映画が歴史に名を残すのだ。