所詮、唐沢俊一。この「追討」薄すぎて薄すぎて。

http://www.tobunken.com/news/news20100803143859.html
帰宅したらいきなり5個の「追討」が。おまけにつかこうへい氏も入っている。
一瞬、ピキピキときかけたがその文章を読んであまりの薄さに、晒し上げる気力すらなくしそうになった。それくらい薄っぺらな文章で、そんな程度のもので「追悼文」などとはおこがましい。こんなものにとっかかっていたら、第56次打通作戦記の更新もできなくなるので、一旦後回しにしておいた。
というわけで続き。

高田馬場の小さな劇場で見た『飛竜伝』*1
紀伊国屋ホールで見た『熱海殺人事件』。
それまで見ていた唐や寺山はすでに“教養”であり、時代はいま、つかこうへいのものなのだな、とはっきり感じさせた舞台だった。

蒲田行進曲」はどうした。
深作欣二監督により映画化され、なおかつ宝塚歌劇で数度も上演された(「銀ちゃんの恋」)この作品をスルーする技倆はさすが唐沢俊一先生だなと思いを新たにする。いやただ単に「馬鹿も極まれり」というだけのことだが。

ちなみに、私の家は両親が朝鮮料理嫌いだったので、高校生まで私は焼肉屋に入ったことがなかった。つか氏のこのエッセイを読んで奮い立ち、初めて焼肉屋に足を踏み入れてそれから大の焼肉ファンになった。……そんなことはどうでもいいが

「朝鮮料理」とわざわざ書くこの品性。「焼肉屋」でええやん。
なおかつ、その責任を両親に押し付けているから、よっぽど嫌いなんやな。

キリンビールのCMで“このCMに出た以上、私は生涯キリンビールしか飲みません”と言い切ったのもつか氏らしかった。

スポンサーの顔を潰す真似ができるわけないでしょうが。ましてや相手はあの麒麟麦酒。ガチガチの三菱系。当時はビールの銘柄も(系列関係を考慮して)かなり気を使っていたご時世だ。

韓国と日本の関係について発言を多くしていたようだが、つかこうへいという人物を知っていると、あまり本気にとらえては馬鹿を見るだろうな、と思えてしまい、真面目に見聞きはしていなかった。その後『娘に語る祖国』を読んだら、国より個人、と書いてあって、ああ、つかこうへいらしいな、と苦笑はしたが。

テメーが苦笑する資格はねぇ。
阿比留瑠比さんのブログを見ると、つかこうへい氏は在日二世でありながらも、決して安易に「慰安婦問題」を語っていないことがわかる。
http://abirur.iza.ne.jp/blog/entry/1695682/


この人の舞台は基本的に“口立て”である。台本には単に流れが書いてあるだけ。主要なセリフは稽古をしながらどんどん即興でつけていき、それが決まれば台本に書き込む。役者が芝居に合わせるのでなく、芝居の方で役者の個性に合わせていく。だから、舞台は出演俳優の個性ひとつで成功もし、失敗もする。
「演出家というのは、役者が飛び上がったまま、しばらく宙で静止できないかと本気で考える人種だ」とある時言っていた。そんなことすら要求しかねないのだから、世間の常識のワクの中に役者が収まるなど、許しがたいことだったろう。

このあたりはWikipediaにも書いてあるとおり有名な話。では、どういう俳優がつかこうへい氏の洗礼を受けたかというと、誰も書いていない。せめて風間杜夫とか、小西真奈美の名前くらいは書いてあげてくださいよ。


というわけで最後に。
実は、この追悼文、知ってか知らずか、ある人物の名前が伏せられている。その名前は
宝塚歌劇団雪組主演娘役、愛原実花
「娘に語る祖国」で呼びかける「みな子」とは彼女のことで、ニックネームが本名に由来することは有名。親の血は争えないのか、演技力・歌唱力・ダンス共に他の同期を圧倒していたからのトップ抜擢である。今回「ロジェ」をもって退団することになっていたから「せめて千秋楽までは」という文章を書いたのだが、そのヅカファンなら誰もが抱く気持ちは、絶対テンテーには理解できないだろうな。
でなければ、関係者の存在全スルーなんてありえねぇ。

成仏などせず、この世に迷って出てきて芝居を作ってほしい。
それが最も似合う人なのだから。

唐沢俊一、お前が代わりに成仏せぇ。
追記
藤岡真氏はもっと辛辣でした。
http://d.hatena.ne.jp/sfx76077/20100802#c1280883935

これはこれはこれは、とか言いながら役者の端くれですと近づいて、
蹴りをいれられながら役者の基礎でも学べばよかったんです。

自分も激しく同意。「緑色の生き物」やってる場合じゃねーぞ。


追記2)
http://d.hatena.ne.jp/kensyouhan/20090218/
http://d.hatena.ne.jp/sfx76077/20100314/
藤岡真氏と検証班氏のblogより。『初級革命講座飛龍伝』は見ているようだ。

そういった演劇人の持つ強烈なナルシシズムと、劇団人の持つ閉鎖性にどうしても共感を得ることが出来ない自分に疑問を感じていたことも確かだった。

と書いている。そんなに思い入れがないなら「追討」してくれるな。
おまけに「社会派くんが行く」では「早くも訃報ラッシュの2010年」と題し

「死んではいないけど、つかこうへいも肺ガンだってよ」

生きているうちから「追討」かい。ええ根性しよるのー。つーか、こんな文章ばかりで、晒し上げるのもエエ加減いやになってくるわ。藤岡真氏と検証班氏には脱帽です。*2ただ、裏を返せば、今回の「追討」がああいった薄っぺらい内容になったのには、劇団側からの暗黙の要請(ヘタな内容を書くな)が考えられる。理由は書くまでもないのだが。
(補足)2011.03.05記
http://aalunabungou.blog88.fc2.com/blog-entry-168.html
コメント参照のこと。この質問が出てきて然るべきである。

*1:原文ママ。『初級革命講座飛龍伝』が正。

*2:今回のだけで掘り下げれば掘り下げるほど、内容の酷さに絶句するのみ。