「賃金」守秘義務に当たらず

18日付の中国上海紙・東方早報(A6面)によると、上海市労働社会保障局はこのほど、企業が従業員に対し、内部機密として賃金を、職場の同僚を含め、他人に漏らさないように求めることは「行きすぎた行為」だとの見解を示した。同局のホームページで、市民の質問に答える形で改めて強調した。同局はその中で、企業は、同局が公布した「企業内部工資分配工作を強めるための指導意見」に基づき、健全で民主的な賃金分配制度を設ける必要があると強調。ポストごとに工資(賃金本給)や奨励金、特別手当、補助金などを見直す際にはもちろん、労働単価などについても従業員の意見を広く聞き、従業員の" 監督" を受けなければならないとしている。(6/19時事)

少々説明が必要になる。
中国人というのは、接したことのある人間はわかると思うが、とにかく他人の財布というものを覗きたがる人種である。大阪人が「儲かりまっか」というのよりも性質が悪い。「ぼちぼちでんな」と答えたら「じゃあ、いくらだ」としつこく聞いてくるので、かなり閉口した。
そういうわけで、従業員同士で、いくら貰っているかを教え合うので、自分の給与が低いと思ったら(自分の働きはさておき)すぐ他社に転職する。そういう土壌もあって、中国人の定着率が悪いのだが、それを防ぐために、賃金を同僚に漏らすなというように要求する企業が多い。でないと、収拾がつかなくなるからだ。
それに対して「行きすぎた行為」というのは、どういうことか。まあ、社会主義国家」=「価値創造よりも分配」優先という原則からすれば、当然の帰結なのだが、それを盾に従業員が騒ぎ出す企業があるやなしや、本件の成り行きを注視したい。*1

*1:自分はこのニュースにかなりの危機感を持っているのだが、マイナーなニュースだから気付かれんだろうな。