政府工作報告

(3/9時事)全国人民代表大会*1で首相(国務院総理)が施政方針を示すため行う政府活動報告。今年は、温家宝首相が同大会初日の3月5日に行った。

  • 多くの国の施政方針と同様、中国の政府活動報告も総花的。また、同国では、この報告で掲げた基本方針の達成度などが議会やマスコミに批判されたり、各種の選挙で争点となったりすることはないので、公約というよりは政治的スローガンの色彩が濃い。例えば、今年の報告でも掲げられた「反腐敗闘争」は10年以上前から社会問題化しているが、「闘争」の掛け声とは裏腹に官僚の不正・腐敗はひどくなるばかり。腐敗分子の大半は長年、野放し状態になっている。
  • 近年深刻化している地方当局による農民の土地収奪問題も同様。また、医療費が高過ぎ、健康保険制度が未整備なため、多くの病人が病院に行けない、もしくは治療を途中で断念せざるを得ないという混乱状態に陥っている医療問題にしても、政府活動報告では多くの課題の一つでしかなく、関係当局者たちに特別な危機感はないようだ。
  • ちなみに、人民大衆と異なり、党・政府官僚の医療制度は今でも「市場経済化」を免れて完備されており、官民の生活水準格差は極めて大きくなっている。

日本の社会保険制度が制度疲労をきたしているのは事実だが、中国ほど酷くはない。身近に元公務員がいるから言えるのだが、給与が安いのに公務員に何故なるかといえば「社会保険が充実しているから」という点にあったりするわけで、一応継続して保険料を納めれば病院にいっても低廉な費用で診療を受けられるとか、年金受給資格を得られるだとか。
日本も「官尊民卑」の傾向は確かにあるが、中国の場合論外だろうというかお手盛りというか、まあ何でもありだな。党幹部が匪賊を雇う国だからな。

*1:何度も書くが中国に国会は存在しない