住民被害、76年に認識(旧労働省)

アスベスト(石綿)による健康被害問題で、工場従業員だけでなく家族や周辺住民に被害が及ぶことを旧労働省が1976年に認識し、有害性の周知などを要請する通達を出していたことが20日、分かった。同日の衆院厚生労働委員会でも取り上げられ、西博義厚労副大臣は「フォローできていなかったのは取り返しのつかない問題。決定的な失敗だったのではないかと個人的には考えている」と述べた。石綿をめぐっては、機械メーカー「クボタ」の周辺住民が石綿と関連の深い中皮腫で死亡するなど、工場外の被害が問題となっている。旧労働省の対策は労働者が対象だったため、こうした情報が住民まで十分に周知・活用されなかったとみられる。通達は、76年5月22日付で各都道府県労働基準局長あてに出した「石綿粉じんによる健康障害予防対策の推進について」。資料として、ロンドンの病院でびまん性中皮腫と診断された患者83人(男性41人、女性42人)のうち、工場近くに居住していた人が11人、家族が9人含まれるとの調査結果などを添付している。その上で「資料を参考に石綿の有害性についての周知を図り、関係事業場の石綿粉じんによる健康障害の防止措置の徹底を図られたい」と要請している。

石綿の危険性についてはここ20年来囁かれていたが、ここまで見事に打つ手が遅れると、あとは野となれ山となれというわけか?というか不作為にも程がある。既に倫敦で同種の事例が発生していたのに見過ごしたのは、ただ単に外国の対策の後追いは避けるという単なる島国根性だったわけだが、どうするのかね?しかしよく今頃になってこんなものが出てきたな。内部告発の類か?