「千と千尋」と「伊藤萬」と。

宮崎駿の「炉」の大作「千と千尋の神隠し」の舞台となった雅叙園旧館は現在取り壊されてしまったが、かつてそこの土地の一部を保有していた上場会社が、戦後史に残る経済事件の舞台となったことは言及すべきであろう。
その会社は「雅叙園観光」。「ドリーム観光」と並んで仕手株の代表格だった(事実兄弟会社だったし)、かたや倒産して雲散霧消し、かたやダイエー傘下に収まったあとはこれもまた歴史の彼方へ消えていってしまった。


詳細は下記サイトを。
http://www.rondan.co.jp/html/dokusho/itoman/mokuji.html
「伊藤萬」OB氏の力作。「論談」の公式サイト内にあるのがアレなのだが、それはどうでもよい。これぞ最後の「伊藤萬」社史。
さらに書くと、伊藤萬があのような形で解体されたのも、高度経済成長期の時点でその火種を内包していたということもできる。あれを住金物産に吸収合併する形としたのは、今にしてみればまだその程度には情があったのかもしれない。その後、中堅商社の淘汰(大倉商事に至っては自己破産という形で事業ごとに切り売りされた)ばかりか、大手商社まで経営統合の嵐に晒されることとなったことを思えば。