西蔵を「誰から」解放したのか?

中国の西蔵自治区*1成立して今年で40年。中国政府はこれまで進めてきたチベット政策に自信を深めているようだ。分離独立運動の象徴でインド亡命中のチベット仏教最高指導者ダライ・ラマ14世の影響力排除を徹底する一方、「西部大開発」の一環として大規模なインフラ整備などの懐柔策を推進。こうした中で、チベット分離独立運動は衰退に向かいつつあるように見受けられる。中国国務院が企画した取材ツアーに参加し、現地の実情を見た。
区都ラサ中心部にあるチベット仏教の有力寺院、ジョカン寺(大昭寺)。平日も巡礼者でごった返す正門前では、地面にうつぶせになる独特の礼拝「五体投地」を行う信者が後を絶たない。しかし、寺を囲む街路バルコルに並ぶ無数の土産物の露店では、以前はあったというダライ・ラマの肖像写真は見当たらない。理由を尋ねると、女性露天商が両手に手錠を掛けられるしぐさをした。*2
中国政府は1995年、ダライ・ラマに次ぐ指導者の故パンチェン・ラマ10世(89年死去)の後継者となる「転生霊童」選定を主導し、ダライ・ラマによる後継者指名を無視した。*3自治区に隣接する甘粛省甘南チベット族自治州の当局者によれば、同様の選定方法は現在、チベット仏教の高僧である「活仏」死去後の後継者選びでも踏襲され、定着化されている。バルコルのある男性商店主は「チベット仏教徒なのだからダライ・ラマを信じるのは当然」と話したが、この男性を含めその消息などを知る住民は少ない。ダライ・ラマの影が一段と薄くなっているのは確かだ。
西蔵自治区では、初の鉄道となる「青蔵鉄道」の建設が最終段階へと進んでいる。青海省格爾木と拉薩を結ぶ全長約1100kmに及ぶ工事で、これまでに202億元*4が投下され、来年には旅客輸送に先駆けて貨物輸送が始まる見通し。開通後は、これまでトラックに頼っていた物資輸送が一変、既に建設された自治区へ石油を運ぶパイプラインと併せ、自治区に恩恵をもたらすのは間違いない。甘南西蔵自治州でも、各地で高速道路の建設現場に出会う。西蔵自治区とともに手厚い優遇措置が取られている印象だ。自治区発展改革委員会のソンラオ主任によると、中央政府が進めた経済・社会発展政策の結果、1994〜2004年に自治区の域内総生産は2.6倍、住民の現金収入は都市部で2.5倍、農村部で1.6倍になった。*5同主任は、こうした懐柔策によりチベット分離独立運動は衰退したとの見方を示し、「自治区住民の大半が反対しており、大きな発展はないと信じている」と胸を張った。さらに、「近年では暴動の発生も聞かない」と、情勢が安定していることを強調した。ダライ・ラマは最近、チベット独立要求を取り下げ、自治権拡大を求める考えを改めて表明した。西蔵の「中国化」はもはや揺るがし難いとの現実判断が働いているのは間違いない。(時事)

最近中共の傀儡と化している時事通信社中国支局の、本多勝一並みの香ばしい記事をこんなところで見ようとは思わなかった。ツッコミはすべて欄外に入れさせていただいたので、電波浴をお楽しみください。

*1:侵攻により

*2:「手錠」じゃなくて「死刑」でしょうな。

*3:どころではなく指名した霊童を拉致監禁して、傀儡を立てた。

*4:民工の命

*5:元々の所得が低いんだからこういう比較は間違い。