「風景剽窃裁判」判決まであと8日。

http://blogs.yahoo.co.jp/marumaru1964kikei/21953050.html
判決期日まではあと8日。
交渉結果について丸田祥三氏が現況を記載。詳細はここにあるとおりで、裁判所が出した和解勧告を被告が一方的に蹴る(それも相手が呑めないような要求を出す)というのは、本当に戦術と言えるのか疑問である。本当に瑕疵なく勝てる案件であればそこまでやる意味はあるのだが、後半*1公判では徹底して自分の責任を回避すべく逃げまくり、そもそも和解交渉の場においても5回目になってはじめて出てくるというのは、裁判官の心証を悪くする方向にしか働かないと考える(いやそれも法廷戦術として正解だという意見があれば指摘下さい)。自分は被告のこの戦術は非常に稚拙なものであるという印象を受けた。
http://d.hatena.ne.jp/SY1698/20101125/
ここでも言及したが、更に書く。
今回の事例が悪質なのは、「職業写真家」が、「すでに発表された他人の作品のコンセプトを模倣し」、それを「商業印刷物」として出版していることにある。一般的な出版物や、映像・音楽では「剽窃」として問題になる事象だ。それを、パクった本人と出版社が組んで、延々と論点のすり替えに走っているばかりか、原告側に応じきれない要求を出して和解交渉を瓦解させるという稚拙な法廷戦術を取ってきたわけで(ここ追加)、これで原告側が敗訴ということになれば、写真出版の世界は「パクッた者勝ち」という判例が作られ、写真文化は枯死の一途を辿ることになるのだが、小林伸一郎*2はそこをどう考えるのだろうか。いや、単なる責任逃れのために裁判に対応してきただけなんだろうが。
追記 12/14 20:00
本裁判についてはかなり原告側の不利が予想された裁判となっており、実は和解勧告の段階で「実質的敗訴」に繋がっていた。戦術的な観点からは、被告にはこのほうが有利であった(被告側が譲歩する形で「和解条件に関する言及を一切防ぐ」と縛りを入れることもできた)にもかかわらず、被告側は「逃げ切れる」と判断したからか、5回目になるまで弁護士任せで一切出廷せず(それも裁判所から出廷督促を受けての末)、相手側に物理的に受入不能な和解条件を出して交渉を瓦解させた段階で、否応にも結審せざるを得ない状況に追い込んだことになる。
これは、被告側が自ら選んだ道だ。
個人的には判決前文に注目したい。そこが司法判断の現れる部分であるからだ。

*1:単純な記載誤りのため修正。

*2:朝日新聞社」もそうだが、「メディアファクトリー」の責任も重い。